20世紀の巨匠に出逢う旅

公益社団法人池田20世紀美術館

池田20世紀美術館

前衛芸術への架け橋、ポスト印象派の時代

20世紀に至るアートヒストリーの中で、絵画表現の自由度をより広げたと言われているのがピエール=オーギュスト・ルノワールをはじめとする印象派の作家です。彼らは、自然の光や空気感、風の流れなども表現しようと試みました。また、当時ヨーロッパの芸術に大きな影響を与えたのが、日本趣味を意味する「ジャポニスム」です。当館では、ポスト印象派とモダンアートの中間に位置付けられるピエール・ボナールの「洪水の後」が展示されています。縦250cm、横450cmの大作で、パリの富豪が食堂に描かせた4枚の壁画の1つです。「牧歌的な地上の楽園での人間や動物たちの平和と幸福」が描かれています。

  • ピエール=オーギュスト・ルノワール「半裸の少女」ピエール=オーギュスト・ルノワール「半裸の少女」
  • ピエール・ボナール「洪水の後」ピエール・ボナール「洪水の後」

世界中で芸術の花が咲く「エコール・ド・パリ」

英語では「School of Paris」と呼ばれた「エコール・ド・パリ」。1900年初頭から40年代にかけ、 他国からパリに来た画家達を含め、こう呼ばれていました。この名の由来は、1928年パリのギャラリーで開かれた「エコール・ド・パリ展」とされています。 「エコール・ド・パリ」の画家達は、画風も自由で、総称としてパリ派と呼ばれていました。彼らの多くは貧しく、様々な文化人達が共同生活をし、時のパリの文化を創り上げていきます。この時代を代表する作家として、マルク・シャガールやモイーズ・キスリング、日本人では田中保などの作品を鑑賞することが出来ます。

モイーズ・キスリング

Moïse Kislingモイーズ・キスリング

1891-1953

絵を描く技法より、何を描くのかを最も重要とした キスリング。 個性的な女性達のポートレート作品では 、 現代のファインアートフォトグラフィーにも通じる作風で 、一見平凡に見える構図の中に艶やかな色と色との調和、 被写体 から湧き出る感情、漂う個性を表わし、見る者にはきっとモダンな中に潜む非凡さを伝えることでしょう。

EPISODE社交性と人間性に富んだ作家

『エコール・ド・パリ』の代表的な画家の一人。ポーランドのクラクフにユダヤ人として生まれ、1910年パリに出て、ピカソやモンパルナスの画家たちと交流。社交性に富み仲間も多かったキスリングですが友情にも厚く、1920年親友モディリアーニの臨終を看取ります。第一次世界大戦では、義勇兵として前線に出征、その軍功によりフランス国籍を取得。第2次世界大戦中はアメリカに亡命、46年にはパリに帰国。明るい鮮麗な色彩で異国情緒豊かで憂愁と官能に満ちた女性像を描いています。

アンリ・マティス

Henri Matisseアンリ・マティス

1869-1954

“There are always flowers for those who want to see them.” 見たいと思う人には、いつでも花はあるのです。 これは、マティスの名言の一つです。 彼は、人間の内的感情、感覚が最も重要だとし、その意味こそが、彼の作風の核となったと言えましょう。

EPISODE野獣派フォーヴィスムの世界

大胆な色彩と形、その強烈な印象より、野獣を連想させることで 評論家から 名付けられたフォーヴィスム 。マティスは、その代表として挙げられる作家ですが、後に“私は人々を癒す肘掛け椅子のような絵を描きたい”と、色の調和を大切にした、おだやかな心の静まる絵を描き始めます。紳士的な振る舞いと、情熱的で知性溢れるマティス は、多くの名言を残した作家でもあります。

  • モイーズ・キスリング「女道化師」モイーズ・キスリング「女道化師」
  • アンリ・マティス「ミモザ」アンリ・マティス「ミモザ」

マルク・シャガール

Marc Chagallマルク・シャガール

1887-1985

激動の時代、人間の“愛”を描き続けてきたシャガールは、時代の風景や想いを、独自の視点と観察力で表現しています。そこには愛と希望の象徴が刻まれ、夢の様な幻想的世界と安らぎを感じとることができます 。

EPISODE絵のテーマは「永遠の愛」

幻想的世界を表現していたシャガールですが、一方で毒舌家としても知られています。少年期は、ロシアでのユダヤ人差別、その後ロシア革命での活動、アメリカへの亡命からフランス移住など、厳しい中にあっても常に人間の愛と希望を描き続ける事が出来たのも、彼の最愛の妻であるベラへの一途な愛に支えられたものと言われています。

サルバドール・ダリ

Salvador Dalíサルバドール・ダリ

1904-1989

人間の無意識の世界を表現し、その存在を明らかにしようとしたシュルレアリスムの代表的作家サルバドール・ダリ。自ら、潜在意識には予言力があることに気付いたと言い、スペイン内戦を予感したとする作品。茹でた隠元豆のある柔らかい構造(内乱の予感)や、第二次世界大戦後、アメリカの繁栄をも予感したとする作品「新人類の誕生を見つめる地政学の子供新人類の誕生を見つめる地政学の子供」なども残しています。

EPISODEシュルレアリスムとダリ

“シュルレアリスムが無意識の世界を探求するならば、思考の制限を受けることは矛盾している。シュルレアリスムとはつまり、私のことなのだ ”と語っている様に、どんな所、どんな時でも、タブー無き行動を起こすダリは、彼の存在こそがシュルレアリスムであり、自身の事を、自ら天才と呼び、その後トレードマークと言うべき、 上向きの細髭と大きく目を見開いたパフォーマンスで有名となりました。

  • シャガール作品
  • ダリとピカソの作品

パブロ・ピカソ

Pablo Picassoパブロ・ピカソ

1881-1973

20世紀アートヒストリーの革命家と謳われたピカソ。数々のスタイルを生み出し、多くの作家達に多大なる影響を与えました。 又、彼は、鳩と平和、そして女性をこよなく愛し、そのテーマ の作品も多く残されています。若き日のピカソの心は敏感で、その時の感情の揺らぎと共に「青の時代」「薔薇色の時代」「キュビスム」、そして人生半ばからは「新古典主義」「シュルレアリスム」と、一生涯に渡り作品を生み出しました。

EPISODEピカソとキュビスムの世界

キュビスムのヒントは、ポール・セザンヌの「全ての自然は幾何学的に構成されている」がきっかけと云われています。20代の半ばになったピカソは、アフリカの儀式や呪術に使われるお面や彫刻からインスパイアされ、それらのイメージを、自身の視点を変える事で、新たな作風を追求しました。被写体を一点から見つめ描くのではなく、360度パノラマカメラの様に、書き手が多角的視点からその対象を捉え、最後には一つに集約し描くという手法 で、彼は独自のキュビスムを確立していきます。

戦後、ポップアートの旗手達

60年代に入りポップアートの時代が訪れます。アンディー・ウォーホルやロイ・リキテンスタインなどにより、日常にあるマスプロダクションなどを題材に、大衆文化を巻き込みながら、醸成していきます。池田20世紀美術館では、アンディー・ウォーホルの「マリリン・モンロー」や、ロイ・リキテンスタインの「化学の平和Ⅰ」が展示されています。また、イギリスポップの代表的な作家であるアンソニー・グリーンの「化粧をする母」もご覧頂けます。

ポップアートの旗手達

日本で初めての20世紀美術館

1975年5月、伊豆の一碧湖けやき通りに、わが国初の20世紀美術専門美術館として開館しました。この美術館の土地・建物と約1400点の所蔵作品の大半は、ニチレキ(株)の創立者池田英一氏が寄付したものです。建物は、彫刻家井上武吉氏の設計で、展示館外壁は日本ではじめてのステンレススチール張り。入口から出口まで有機的に連なるユニークな空間造形となっております。作品が観賞しやすい美術館です。

  • 池田20世紀美術館外観
  • 美術館入り口

INFORMATION

施設名

公益財団法人 池田20世紀美術館

電話

0557-45-2211

マップ

一碧湖エリア

住所

〒414-0052静岡県伊東市十足614

営業時間

9:00〜17:00

休館日

水曜日(祝日・7月・8月・年末年始は無休)

料金

大人1,000円 高校生700円 中・小学生 500円